こんにちは!元オーラルケア製品開発者のしーか先生です!!
みなさんはジェルコートFという歯磨き粉を知っていますか?
ジェルコートFは、ウェルテック株式会社が販売しています「フッ素コート歯磨きジェル」です。
こちらは高い殺菌力と発泡剤・研磨剤無配合を売りとした製品です。
この記事を読んで、配合成分を細かく見ていき、なぜこの歯磨き粉が良いのか確認していきましょう!
ジェルコートFとは
ジェルコートFは、ウェルテック株式会社が販売しています。
ウェルテック株式会社は、1967年創業の会社で、予防歯科に着目したコンクールブランドを展開してます。
そのなかでも、希釈して使う洗口液「コンクールF」は、かなり人気のある製品となります。
このコンクールブランドの歯磨き粉がジェルコートFとなります。
ジェルコートFは、2005年の4月より販売しており、大手歯磨き粉メーカーの製品と比較しますと、フレッシュな製品となります。
ジェルコートFの成分解説
それでは、全成分それぞれ見ていきましょう!
濃グリセリン:化粧品でよく使われているグリセリン。若干粘性のある液体で、甘みがあります。水と違って揮発しにくいため、歯磨き粉の潤いを保ちます。
PEG-8:ポリエチレングリコール400の別名称で、有効成分としても配合する事ができます。その場合、ヤニの除去をパッケージに記載できますが、実際美白効果はあまりない原料です。
エタノール:よくアルコールと呼ばれるのが、このエタノールです。配合量が多いとお酒っぽい味がします。歯磨き粉では、さっぱり感を出したり、水に溶けなく、油に溶けるものを溶解する時に使います。
BG:1、3-ブチレングリコールの略称で、化粧品にも良く使われている成分です。若干のとろみがあり、製剤に潤いを与えます。少し苦味があります。
キシリトール:ガムで有名な歯に良い甘味剤ですね。甘み自体はそこまでなく、イメージを良くするために配合することがあります。
キサンタンガム:とうもろこしや大豆を栄養分とし、発酵の過程でできた粘度を上げる原料です。食品添加物としても使用ができる成分です。
カラギーナン:海藻由来の粘度を出す成分です。力を加えますと伸びやすく、放置すると粘性が回復する特徴があります。
ポリビニルピロリドン:こちらは水に溶ける高分子で、粘度自体はそこまで出ません。PEG-8と同様に、有効成分としても配合する事ができ、美白効果の訴求ができます。ただし、PEG-8と同様に、そこまでの美白効果は実際にはありません。
ポリリン酸ナトリウム:こちらも有効成分として配合する事ができる成分で、美白効果の訴求ができます。この原料は、歯表面の汚れをキレート作用で落とし、歯をコーティングし、汚れをつきにくくします。美白効果を得たい場合は、必須の成分となります(下の記事に詳しく書いてます)。
フッ化ナトリウム:数ある成分の中でも、虫歯に対する予防効果がかなり高い成分です。ジェルコートFでは、950ppmと高濃度フッ素ではありません。
塩酸クロルヘキシジン:この成分はカチオン系(プラスの電荷)の殺菌成分となります。塩化セチルピリジニウムと同様に、菌と接触して膜を破壊する事で殺菌します。ただ、この塩酸クロルヘキシジンは、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため、歯磨き粉メーカーの人は好んで入れません(好んで入れないのは、印象が悪いからです)。
β-グリチルレチン酸:こちらは抗炎症効果のある成分です。炎症を抑える事で、歯周病の予防が期待できます。グリチルリチン酸ジカリウムもありますが、β-グリチルレチン酸の方が誘導体のため、抗炎症効果が高いと言われています。
香料:歯磨き粉では、1パーセントまで配合できる香りづけする成分です。様々な香りがあり、ジェルコートFではペパーミントなどが使われてます。
クエン酸ナトリウム:製剤のpHを調整するための原料で、クエン酸ナトリウム自体はpH8付近と、中性〜弱アルカリ性になります。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:歯磨き粉で可溶化(油と水をなじませる)するために、よく配合される成分です。可溶化の性能がよく、油の分離を抑えてくれます。
ショ糖脂肪酸エステル:こちらも可溶化の目的で配合しますが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油よりは効果は低いです。若干ですが泡立ちもあります。
炭酸水素ナトリウム:よく重曹と言われるのが、この成分です。重曹は汚れ落ちがよく、磨き終わりのさっぱり感があります。
パラベン:パラオキシ安息香酸エステルの略称で、パラオキシ安息香酸メチルやエチルなどをまとめて言います。歯磨き粉は、2次汚染と言って歯ブラシにつける時、菌が移って増える可能性があります。このパラベンは、その2次汚染を抑えてくれます。少量で菌の増殖を抑えてくれるため、開発者としては入れたい成分となります。
ジェルコートFの特徴
ジェルコートFの特徴は、ジェル系の歯磨き粉は汚れ落ちが悪いことが多いのですが、ポリリン酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムといった汚れ落ち効果の高い原料が配合されていることです。
また、ジェルの滞留性からフッ素が歯面に残りやすいことを特徴としております。
ただ、フッ素濃度が950ppmと高濃度フッ素ではないため、そこが残念です…
あとは成分を見た感じですと、製剤のpHは7~8くらいと思われます。
そのため、歯の脱灰(カルシウムが抜けること)のリスクはありません。
どうでしたか?
「低発泡、低研磨が良い」というかたには、虫歯・歯周病・美白効果も期待できる歯磨き粉となっています。
人気の製品のため、一度使ってみてはどうですか?