こんにちは!元オーラルケア製品開発者のしーか先生です!!
よく歯磨き剤は泡が立たないもので、じっくりと磨く方が良いって聞きませんか?
確かにじっくり優しく磨くことは大事ですが、それだけの理由で泡立たない歯磨き剤を選ぶ必要もありません。
歯磨きの泡立ちについてこの記事で学び、自分にあった歯磨き剤を見つけましょう。
発泡剤とは
発泡剤とはその名の通り、泡を発生させる役割を持つ成分となります。
発泡剤は界面活性剤と呼ばれ、界面に働きかけることにより、以下のような性質を持つ成分です。
❑ 発泡
❑ 消泡
❑ 乳化
❑ 可溶化
界面活性剤は構造によって、どの性質を持つか異なります。
界面活性剤の種類
それでは界面活性剤にはどういうものがあるのか、詳しく見ていきましょう!
界面活性剤は大きく4種類に分けられます。
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、構造の中にアニオン(マイナスの電荷を帯びた箇所)が存在する界面活性剤となります。
アニオン性界面活性剤は、泡立ちが良く、昔から良く歯磨き剤に使われている成分となります。
代表的なものは「ラウリル硫酸ナトリウム」や「ラウロイルメチルタウリンナトリウム」などが挙げられます。
泡の特徴としましては、モコモコ感はありませんが、泡立ちは良いです。
アニオン性界面活性剤は昔よく使われていたと申しましたが、新しい製品で配合されたものは減ってきております。
その理由としましては、歯磨きメーカー各社が特許を出していたり、刺激性があり、あまり印象も良くないためです。
製品の開発をしていた時は、原料自体が軽い粉のため、よく吸い込んで咳き込んでました。(笑
ただ、刺激を感じるくらいの量が入った歯磨き粉はほぼないと思います。
そのため、ラウリル硫酸ナトリウムが入っていても、使用して刺激を感じないのであれば、特に問題はありません。
界面活性剤由来の苦味も少なくて、使用感は悪くありません。
海外では泡立つ歯磨き剤の方が人気があるため、ラウリル硫酸ナトリウムなどの歯磨き剤が多いです。
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、構造の中にカチオン(プラスの電荷を帯びた箇所)が存在する界面活性剤となります。
カチオン性界面活性剤は、泡立ちはアニオン性界面活性剤ほどではありませんが泡立ちます。
菌の表面はマイナスの電荷を帯びており、カチオン性界面活性剤は磁石のように引き寄せられ、菌の膜構造を破壊します。
そうして、菌を死滅させることから、カチオン性界面活性剤は殺菌作用があると言われてます。
代表的なものは「塩化セチルピリジニウム」や「塩酸クロルヘキシジン」などがあります。
かなり少量でも口腔内の細菌に対して、殺菌効果が期待出来ます。
両性界面活性剤
両性界面活性剤は、両端にカチオンとアニオンの部位を持つ物質となります。
そのため、両性質を兼ね備えた界面活性剤となりますが、実際はpHによってその性質を変えます。
代表的なものは「ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン」などがあります。
アニオン性界面活性剤よりも泡が細かく、モコモコ感を感じられます(粘結剤の組み合わせにもよりますが…)。
最近の歯磨き剤の発泡剤は、この両性界面活性剤が増えてきております。
刺激性が少ないからですね。
ただ、刺激性は少ないものの原料自体が苦いものが多く、苦味に敏感なかたは、この界面活性剤由来の苦味を感じる可能性があります。
ノニオン性界面活性剤
ノニオン性界面活性剤は、プラスとマイナスの電荷どちらもない界面活性剤となります。
このノニオン性界面活性剤は、基本的に泡立ちが少なく、可溶化(油と水を混ざるようにする)目的で配合することが多いです。
代表的なものは「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」や「グリセリン脂肪酸エステル」などがあります。
泡立つことのメリット・デメリット
それでは泡立つことのメリット・デメリットを見てみましょう。
❑ 成分が隅々まで行き渡る。
❑ 磨き心地が良い。
❑ 歯ブラシが滑ることが少ない。
❑ 口いっぱいになった時、吐き出す必要がある。
❑ ブラッシングが疎かになることがある。
口いっぱいになって吐き出すと歯磨き剤の効果が薄れるような事も言われてますが、特にそこまで大きな影響はありません。
どちらかと言いますと、歯磨き後のお口をゆすぐ回数が多い方が効果が薄れます。
お口をゆすぐ回数は一回がおすすめです。
ブラッシングが疎かになるという点につきましては、意識的な問題のため、注意して磨けば、特にそのようなことはないでしょう。
どうでしたか?
発泡剤は刺激や苦味が特に気にならないようでしたら、特に避ける必要もありません。
やはり使用感が良い歯磨き剤で、歯を磨きたいですよね!
ただ、磨いた気になって、すぐに歯磨きを止めてしまわないように意識して磨きましょう!